「ホームページをリニューアルしたのに問い合わせが増えない」「公開したら検索順位が落ちた」——リニューアルの失敗には、はっきりした共通パターンがあります。制作の現場でご相談を受けていると、うまくいかなかったサイトは驚くほど同じ場所でつまずいています。
この記事では、ホームページのリニューアルでよくある失敗を7つに絞り、それぞれの防ぎ方とセットで解説します。どれも、これから着手する方が事前に知っていれば避けられるものばかりです。末尾にはリニューアル前のチェックリストも付けました。
失敗の多くは「公開後」に発覚する
リニューアルの失敗が厄介なのは、公開の瞬間には分からないことです。デザインは新しくなり、社内の評判も上々。ところが数か月経つと、検索流入が減っている、問い合わせが増えていない、更新が止まっている——という形で表面化します。
まず、7つの失敗と防ぎ方の全体像です。
| 失敗 | 防ぎ方の要点 |
|---|---|
| ① 目的が「なんとなく古いから」 | 目的を1つに絞ってから始める |
| ② URL変更でSEO資産を失う | URL対応表と301リダイレクトの設計 |
| ③ 公開がゴールになり更新が止まる | 公開前に更新の担当と頻度を決める |
| ④ スマホ表示を後回しにする | スマホでの見え方・操作から設計する |
| ⑤ 自分たちで更新できない構造 | 更新できる範囲を契約前に確認する |
| ⑥ 問い合わせ導線が前より悪くなる | 旧サイトの導線の良い部分を引き継ぐ |
| ⑦ 価格だけで制作会社を選ぶ | 内訳と作業範囲を揃えて比較する |
よくある失敗7つと防ぎ方
失敗① 目的が「なんとなく古いから」のまま進める
もっとも多く、もっとも根深い失敗です。目的がないと、デザイン確認の場に判断基準がなく、社内の好みの言い合いになります。完成しても「何が良くなったのか」を測れません。
防ぎ方:着手前に目的を1つに絞ります。「問い合わせを増やす」「採用応募を増やす」「予約をオンライン化する」——1つ決まれば、構成もデザインも機能も、その目的で判断できます。そもそも今リニューアルすべきか迷っている段階なら、作り直すべき"古いホームページ"のサイン7つで判断材料を確認してください。
失敗② URL変更でSEO資産を失う(リダイレクト設計の欠落)
実害がもっとも大きい失敗です。ページのURLが変わったのに転送設定(301リダイレクト)をしないと、検索エンジンからは「ページが消えた」ように見え、積み上げてきた検索評価がリセットされてしまいます。「公開後にアクセスが半減した」という相談の原因は、たいていこれです。
防ぎ方:旧ページと新ページのURL対応表を作り、URLが変わるページ全てに301リダイレクトを設定します。この作業は安い見積もりほど省略されやすいため、契約前に「リダイレクト設計は含まれますか」と確認することがそのまま防止策になります。移行の手順はWordPressリニューアルの進め方と期間の目安で解説しています。
失敗③ 公開直後がゴールになり、更新が止まる
公開日をゴールに全力疾走すると、燃え尽きて更新が止まります。お知らせの最終更新が1年前のサイトは、訪問者に「この会社、動いているのかな」という不安を与え、検索評価の面でも不利になりやすいです。
防ぎ方:公開前に「誰が・何を・どの頻度で」更新するかを決めておきます。自社で手が回らないなら、更新代行やバックアップを含む簡易保守(目安として月2万円〜)を組み込む方が現実的です。保守で何をしてもらえるかはホームページの保守費用を参考にしてください。
失敗④ スマホ表示を後回しにする
業種にもよりますが、中小企業のサイトは閲覧の半分以上がスマートフォンというケースが珍しくありません。パソコンの画面だけで確認を進めると、スマホでは文字が小さい・ボタンが押しにくい・表がはみ出す、といった問題が公開後に見つかります。
防ぎ方:デザイン確認の段階から、必ず自分のスマホで表示して、指で操作してみることです。スマホ対応の考え方と費用はホームページのスマホ対応の費用にまとめています。
失敗⑤ 自分たちで更新できない構造で納品される
「写真1枚差し替えるだけで制作会社に依頼、費用と数日の待ち時間が発生」という状態です。更新のたびにコストがかかるため次第に更新されなくなり、失敗③の原因にもなります。
防ぎ方:お知らせ・実績・メニューなど更新頻度が高い部分を、管理画面から自分たちで編集できる構成にしてもらいます。「どの部分を自分たちで更新できますか」を契約前に確認してください。今のサイトも、後から自分で更新できる仕組みに直せます(CMS化の目安:25〜40万円)。
失敗⑥ 問い合わせ導線が前より悪くなる
意外に多い失敗です。デザインを優先した結果、旧サイトでは目立っていた電話番号が小さくなった、問い合わせボタンが減った、フォームの入力項目が増えた——見た目は良くなったのに問い合わせが減る典型パターンです。
防ぎ方:旧サイトで機能していた導線(電話・フォーム・地図・営業時間の表示)を洗い出し、新サイトで同等以上に扱うことです。フォームの項目は必要最小限に絞ります。導線の考え方はホームページから問い合わせが来ない原因と改善策で詳しく解説しています。
失敗⑦ 価格だけで制作会社を選ぶ
相見積もりで最安の会社を選んだら、リダイレクトも保守も含まれておらず、追加費用で結局高くついた——という相談は後を絶ちません。逆に「高いから安心」ともいえないのが難しいところです。
防ぎ方:合計金額ではなく、内訳と作業範囲を揃えて比較します。具体的な比較方法と質問リストは失敗しないホームページ制作会社の選び方に、費用の相場はリニューアル費用の相場と内訳にまとめています。
リニューアル前のチェックリスト
着手前に、次の項目を確認してください。
- リニューアルの目的を1つに絞った
- 現状の数字(アクセス数・問い合わせ数)を記録した
- URL対応表とリダイレクト設定が見積もりに含まれている
- スマホでの表示・操作を確認する工程がある
- 公開後に自分たちで更新できる範囲を確認した
- 更新の担当者と頻度を決めた
- 電話・フォームなど問い合わせ導線を旧サイトと見比べた
- 保守の月額と作業範囲を確認した
2つ目の「現状の数字の記録」は忘れられがちですが、リニューアルの成否を判定する唯一の材料です。アクセス解析が入っていないなら、リニューアルと同時に設置しましょう(GA4設置の目安:6〜10万円)。
よくある質問
Q. リニューアルすると検索順位は必ず落ちますか?
必ず落ちるわけではありません。URL対応表と301リダイレクトを適切に設定すれば、これまでの評価は新しいURLへ引き継がれます。公開直後に一時的な変動が起きることはありますが、大きな下落の多くはリダイレクトの欠落や設定漏れが原因です。だからこそ、この工程が見積もりに含まれているかの確認が重要になります。
Q. すでに失敗に気づきました。全部作り直すしかないですか?
症状によります。導線の悪さ・スマホ表示・更新できない構造などは、部分的な改修で直せることが多いです。今のサイトを活かして機能や改修を足す場合、初期セットアップ5〜8万円+内容ごとの費用が目安です。土台から問題がある場合は作り直しの方が結果的に安いこともあるため、かんたん見積もりで両方の概算を見比べてみてください。
Q. デザインの流行はどこまで取り入れるべきですか?
流行を追うことより、読みやすさと導線を損なわないことを優先してください。凝った動きや演出は、表示速度の低下や操作の分かりにくさと引き換えになることがあります。5年使うつもりで、奇をてらわない設計にしておく方が結果として長持ちします。どんな機能・表現が選べるかはできること(機能の実例)で実際に試せます。
まとめ
- 失敗は公開後に発覚する。だからこそ着手前の設計と確認でほぼ防げる
- 最重要は目的を1つに絞ることとリダイレクト設計の2つ
- 更新が止まる問題は、公開前の体制決め(自社更新か保守か)で防ぐ
- 会社選びは価格ではなく内訳と作業範囲で比較する
リニューアルの計画段階でのご相談も歓迎です。お問い合わせから現状をお聞かせください。