先に答えです。UI(ユーザーインターフェース)は、画面の見た目と、人が触って操作する部分のことです。ボタン、メニュー、入力欄、文字の大きさや色の使い方がこれに当たります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)は、そのサイトを使って感じる体験の全体です。迷わず目当てのページに着けた、すぐ開いた、安心して問い合わせできた、触って楽しかった、といった感じ方のことです。
お店にたとえると分かりやすくなります。UIは入口の扉、看板、棚の並び、レジです。UXは「入りやすかった」「欲しい物がすぐ見つかった」「気持ちよく買えた」という来店の体験そのものです。扉がおしゃれでも、レジがどこか分からなければ、お客さまの体験は良くなりません。
では、会社案内が中心のホームページにも関係があるのか。答えは「あります」です。人が見に来て、読んで、電話や問い合わせをするまでの道がある以上、どのサイトにもUIとUXはあります。違いは、それが良いか悪いかだけです。
この記事では、リニューアルを考え始めた方に向けて、UIとUXの違い、問い合わせとのつながり、自社サイトで確かめられる見直しポイントを順に説明します。
UIとUXの違いを、ひと目で
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UI |
UX |
| ひとことで |
画面の見た目と、触って操作する部分 |
使って感じる体験の全体 |
| ホームページでの例 |
ボタン、メニュー、入力フォーム、文字の大きさ、色 |
迷わない、すぐ開く、安心して送れる、楽しい |
| うまくいっていないとき |
ボタンが小さくて押しにくい、メニューが見つからない |
「よく分からないから、ほかの会社にしよう」と帰られる |
| どう確かめるか |
画面を見て、触ってみる |
目的(問い合わせなど)まで通して使ってみる |
使いやすさの調査・コンサルティングで知られる米国の Nielsen Norman Group は、UXを「会社や、そのサービス・商品と、使う人とのあいだのやりとりのすべて」と定義しています。そのうえで、UIはとても大切な一部だが、UXそのものとは区別すべきだと書いています。良いUXの第一条件は、相手が求めていることを手間なく満たすこと。その次に、使っていて気持ちのいいシンプルさと洗練が来る、という順番です(Nielsen Norman Groupの定義)。
つまりUXはサイトの外のやりとりまで含む広い考え方で、この記事ではそのうちホームページの部分を扱います。
「使う人の立場から設計する」考え方は国際規格にもなっています。人間中心設計の規格 ISO 9241-210(現行は2019年版)は、対象となる仕組みの例としてWebサイトを挙げています(ISO 9241-210:2019)。UI/UXは大企業のアプリだけの話ではなく、会社のホームページも同じように考える対象だと言えます。
UIは「見た目」だけでなく「触ったときの反応」も含みます
UIというと色や配置を思い浮かべがちですが、押したときにどう反応するかもUIの一部です。押せる場所が反応して教えてくれると、初めて来た人でも「ここは押せる」と分かります。
下の見本は触って動かせます。カードやボタンにカーソルを乗せる(スマホでは触れる)と、ガラスのような部品が光を受けて傾きます。
部品が光って傾くのはUIの工夫です。それを見て「押せると分かる」「触ってみたくなる」と感じるのがUXです。ただし、こうした演出は基本が整ったあとに足すものです。順番は記事の後半で説明します。
なぜUI/UXで問い合わせが変わるのか
ホームページから問い合わせが来るまでには、いくつかの段階があります。検索や広告からページを開く、読んで内容を確かめる、問い合わせの方法を探す、入力して送る、の順です。どの段階にも、UI/UXのつまずきで人が帰ってしまう場面があります。
| 段階 |
よくあるつまずき |
起きること |
| 開く |
表示が遅い、開いた直後に画面がずれる |
内容を見る前に閉じられる |
| 読む |
何の会社か分からない、スマホで文字が小さい |
読まずに検索結果へ戻られる |
| 探す |
問い合わせの入口が見つからない、ボタンが押しにくい |
「あとで」と思われ、そのまま忘れられる |
| 送る |
フォームが長い、どこが間違いか分からない |
入力の途中でやめられる |
一つひとつは小さなつまずきでも、段階ごとに人が減っていくので、最後の問い合わせまで残る人は掛け算で少なくなります。しかも、帰った人がサイトの不満を伝えてくれることはまずありません。社内の人は自社サイトの使い方を知っているので、つまずきに気づきにくいのです。
Googleも「ページの体験」を見ています
Googleは、検索順位を決める中心の仕組みが、良いページの体験(ページエクスペリエンス)を提供するコンテンツを評価するように作られていると説明しています。決まった1つの指標があるわけではないとしたうえで、自己点検の問いとして、Core Web Vitals(表示の速さ・操作への反応・表示のずれ)が良好か、安全な接続か、スマホで見やすいか、本文を覆う割り込み画面がないか、本文とそれ以外を見分けやすいか、などを挙げています(Google検索セントラル:ページエクスペリエンス)。
ただし同じページで、計測ツールの結果が良くても上位表示が保証されるわけではない、とも明記しています。順位のためというより、来た人が迷わないために整えるものと考えるのが現実的です。
このうちCore Web Vitalsは、表示の体験を測る次の3つの目安です。読み込みを始めてから、最初に見える画面の中でいちばん大きな画像や文章のかたまりが出るまで2.5秒以内。タップなどの操作に画面が反応するまで200ミリ秒未満。後から画像などが入って文字やボタンが動く「表示のずれ」の量が0.1未満です(Google検索セントラル:Core Web Vitals)。
自社サイトで見直すポイント(確かめ方つき)
お手元のスマホと、社外の人の目があれば確かめられるものを、問い合わせまでの段階順に並べました。社内で慣れている人ほど見落とすので、できれば初めてサイトを見る人にも試してもらってください。
開いた瞬間
- 表示が遅くないか。確かめ方:スマホのWi-Fiを切り、携帯回線で自社サイトを開きます。数字で見るなら、当社のWEBサイト無料診断にURLを入れると、表示速度とスマホ対応を採点できます。診断書では、上のGoogleの目安のうち、読み込み(2.5秒)と表示のずれ(0.1)の2つと見比べられます。
- 何の会社か、すぐ分かるか。確かめ方:家族や知人にトップページを数秒だけ見せ、「何の会社で、誰に向けたサービスか」を言ってもらいます。言えなければ、最初の画面の見出しを見直す合図です。
- 開いた直後に、大きなポップアップで本文を隠していないか。確かめ方:スマホのブラウザの「プライベート(シークレット)」画面で、初めて来た人と同じ状態で開き、閉じるボタンがすぐ押せるかも見ます。
読むとき
- スマホで文字が小さすぎないか。確かめ方:スマホで、指で拡大せずに本文を1段落読み切れるかを見ます。年配のお客さまが多い業種なら、その世代の方にも読んでもらうと見落としが減ります。
- 文字と背景の色の差が足りているか。確かめ方:画面の明るさを下げたり、屋外で開いたりして読めるかを見ます。薄いグレーの文字や、写真の上に重ねた白い文字は読みにくくなりがちです。
- いま何のページにいるか分かるか。確かめ方:検索から下層ページ(サービス紹介やコラム)に直接入ったつもりで開きます。そのページの見出しと、メニューや「トップ>サービス>…」の表示で、現在地とトップへの戻り方が分かるかを見ます。
探す・押すとき
- 電話・問い合わせの入口が、どのページでも見えるか。確かめ方:トップ以外のページを3つほど開き、最初の画面と一番下に問い合わせの入口があるかを見ます。スマホでは、電話番号を押してそのまま発信できるかも確かめます。
- ボタンが指で押しやすい大きさか。Googleの開発者向け資料では、押せる部分は48×48ピクセル(実寸で一辺9ミリ程度、指の腹くらい)を目安に、隣とは8ピクセル程度空けることを勧めています(web.dev:押しやすいタップ領域)。確かめ方:メニューやボタン、文中のリンクを親指で押してみて、隣を押し間違えないかを見ます。
- 押せるものと押せないものを見分けられるか。確かめ方:ただの飾りの四角がボタンに見えていないか、逆に、押せるリンクが普通の文字と同じ見た目で埋もれていないかを見ます。
送るとき
- 入力フォームが長すぎないか。確かめ方:スマホで最後まで入力して、実際に送ってみます。必須の項目が最初の連絡に本当に必要か、電話番号の欄で数字のキーボードが出るか、間違えたときにどこが違うか分かるかを見ます。
- 送ったあと、次に何が起きるか分かるか。確かめ方:送信後の画面に「いつ・誰から・どうやって連絡が来るか」が書かれているか、自動返信のメールが届くかを確かめます。
引っかかったら、どこから直すか
直す順番は、問い合わせまでの段階の前のほうからがおすすめです。開いた瞬間のつまずきは、来た人全員に影響するからです。目安としては、表示の速さと「何の会社か分かるか」、読みやすさ、問い合わせの入口、フォームの順です。
表示の速さに引っかかった場合の原因と直し方はホームページの表示が遅い原因と直し方に、入口やフォームなど導線の直し方は問い合わせが来ないホームページの共通点にまとめています。スマホで崩れる、自分たちで更新できないなど、サイトの土台に引っかかる項目が多い場合は、部分的な手直しより作り直しのほうが早いこともあります。判断の目安は作り直すべき“古いホームページ”のサインをご覧ください。
使い勝手を変える機能の例
見直しポイントの多くは、ボタンや文字の手直しで改善できます。一方で、業種によっては「機能」を足すことで、探す・比べる・確かめるといった体験そのものが変わります。当社サイトのトップやできること(サイト機能の実例)に置いている見本(デモ)を例に、UXがどう変わるかをまとめました。どれも実際に触って試せます。
| 機能 |
画面・仕組みで変わること |
体験として良くなること |
| 多言語切替 |
言語ボタン1つで、メニューも本文もまとめて切り替わる |
海外のお客さまが、翻訳アプリを使わずに読める |
| 表示速度の改善 |
見た目は変えずに、重い画像や不要なプラグインを整理する |
開いてから待たされにくくなる |
| 物件・商品検索 |
条件を変えると、件数と一覧がその場で更新される |
目当ての物件や商品まで、迷わずたどり着ける |
| 360°内見 |
画面をドラッグすると、部屋の中を見渡せる |
来店前に中の様子が分かり、安心して問い合わせできる |
| お知らせバナー |
休業やキャンペーンを、スクロールしても見える位置に出す |
大事なお知らせを見落としにくくなる |
| ビフォーアフター |
バーを左右に動かすと、施工の前と後が切り替わる |
変化の大きさが、説明を読まなくても伝わる |
機能は今のサイトを活かしたまま1つから足せることも多いので、全部を入れ替える前に「どの段階でつまずいているか」から選ぶのがおすすめです。
「見るだけ」から「触って楽しむ」UIへ
当社は、ホームページが「見るだけ」のものから「触って楽しむ」ものへ動き始めていると見ています。上のガラスの見本のように、カーソルや指の動きに部品が応える作りは、その一例です。
こうした動きは、印象に残るサイトにしたいときの選択肢になります。ガラスの質感や水面のように、触って試せる見本はUI/UXの見本ページにまとめています。料金の目安も、この見本ページと料金ページに載せています。どんな流れがあるのか、どんなサイトに向くのかは、2026年のUI/UXトレンドで紹介しています。
凝った演出がいらない場合と、先にやるべきこと
触って楽しいUIは魅力的ですが、すべてのサイトに必要なわけではありません。次の場合は、演出より先にやることがあります。
- 基本が整っていない場合。遅い、押しにくい、何の会社か分からない、のまま演出を足しても体験は良くなりません。動きを足せば読み込むものも増えるので、基本が先です。
- 落ち着きや信頼が何より大事な業種。士業や医療のように、安心感が問い合わせの決め手になる業種では、動きは控えめにするほうが合うことがあります。少なくとも、予約や問い合わせの手順の途中には入れないのが無難です。
- 動きが苦手な人への配慮ができない場合。スマホやパソコンには、画面の動きを減らす設定があります。演出を入れるなら、その設定の人には動きを止めて表示する作りにしておくのが望ましいです。
UXの第一条件は、来た人の用事を手間なく済ませることでした。演出は、その土台の上に「楽しい」「覚えている」を足すものと考えると、順番を間違えずに済みます。
よくある質問
UIとUX、どちらから直せばいいですか
UXの困りごとを見つけて、その原因になっているUIを直す順番が近道です。たとえば「問い合わせまでたどり着けない」という困りごと(UX)があり、原因が「ボタンが下のほうに1つしかない」(UI)なら、ボタンの位置と数を直します。いきなり見た目から変えると、困りごとと関係のない所に手間をかけてしまうことがあります。
デザインを新しくすれば、UXも良くなりますか
見た目が新しくなっても、遅い・押しにくい・迷う、が残っていれば体験は良くなりません。逆に、見た目はほとんどそのままでも、表示の速さやボタンの位置、フォームを直すだけで使いやすさは変わります。リニューアルを考えるときは、見た目の好みと、使いやすさの問題を分けて書き出しておくと、何を直すべきかがはっきりします。
まとめ
UIは画面の見た目と触って操作する部分、UXはそのサイトを使って感じる体験の全体です。会社案内のホームページでも、問い合わせまでの道がある以上、UI/UXは必ず関係しています。
問い合わせまでの段階は「開く・読む・探す・送る」です。どこかでつまずくと、人は黙って帰ってしまいます。まずはスマホで自社サイトを開き、この記事の見直しポイントを段階順に試してみてください。いちばん前の段階で引っかかった所が、最初に直す場所です。