不動産会社のホームページ改修でいただくご相談は、「全部作り直すほどではないが、このままでは古い」という中間の状態がほとんどです。物件情報は毎週更新している、けれど検索の使い勝手やスマホでの見え方は数年前のまま、という形です。

改修が難しいのは、直したい箇所が同時にいくつも見えてしまうからだと思います。物件検索、写真、問い合わせフォーム、スマホ表示、表示速度——どれも直したいけれど、全部やると費用が膨らみます。

先に費用の全体像だけお伝えすると、当社の場合、部分的な改修は初期セットアップ費3〜5万円+必要な機能の積み上げ、サイト全体の作り直しは13〜80万円(いずれも税別)が目安です。中心になるのは標準リニューアルの25〜40万円あたりです。

この記事では、不動産サイトの改修について「どこで作り直しと線を引くか」「何から直すと反響に効きやすいか」「それぞれいくらかかるか」を、実際の見積もりに使っている金額とあわせて整理します。物件を増やす方法ではなく、いま持っているサイトをどう直すかの話です。

「部分改修」と「作り直し」はどこで線を引くか

まず、今のサイトを土台として使い続けられるかどうかを判断します。判断材料は見た目の古さではなく、中身の状態です。

次の項目に3つ以上当てはまる場合は、部分改修を重ねるより作り直した方が結果的に安くなることが多くなります。

  • WordPressやテーマ・プラグインの更新が数年止まっている
  • 制作会社と連絡が取れず、管理画面のログイン情報も分からない
  • 物件を追加するのに、HTMLファイルを直接触る必要がある
  • スマホで見ると文字が小さく、横スクロールが発生する
  • ページを増やすたびに表示が重くなり、開くまでに数秒かかる

逆に、WordPressで動いていて更新も追いつけており、「物件検索が弱い」「問い合わせが取りこぼれている」など課題が特定できている場合は、部分改修で十分に効果が出ます。

判断がつかないときは、作り直す前提で見積もりを取る必要はありません。 現状のサイトを調べたうえで「この部分は使える/ここは作り直しが必要」と切り分けるところから始められます。当社の場合、この現状調査とテスト環境の用意を含めた初期セットアップ費が3〜5万円(税別)です。一般的な開発会社の相場は10〜30万円ほどです。

作り直しが前提になる場合の全体像は、WordPressリニューアルの費用相場サイトを作り直すべきサインに整理しています。

改修の効果が出やすい5か所(不動産サイトの優先順)

限られた予算でどこから手を付けるかは、反響までの距離が近い順に決めるのが基本です。不動産サイトの場合、次の順番になることが多いと感じています。

1. 物件検索の使い勝手

エリア・価格・間取りで絞り込めないサイトは、来訪者が物件一覧を上から順に見ていくことになります。経験上、掲載数が20件を超えたあたりから、これは現実的ではなくなってきます。

検索条件をどこまで細かくするかは、掲載数と扱う物件種別で決めます。賃貸中心なら駅からの徒歩分数、売買中心なら土地面積や築年数が効きます。

2. スマホでの物件詳細ページ

不動産サイトの閲覧は、スマホからの割合が高い分野です。間取り図が小さくて指で拡大しないと読めない、写真がスワイプできない、といった点は改修の効果がはっきり出ます。

3. 問い合わせの入口

「お問い合わせ」だけの一本道になっていないかを確認してください。「この物件を見学したい」「似た条件の物件を紹介してほしい」「相場だけ知りたい」では、押せるボタンが違います。

心理的なハードルの下げ方は不動産会社のホームページで反響を増やす方法で詳しく扱っています。

4. 自社で物件を更新できる状態

成約済みの物件が残っている、新着が3か月前で止まっている——これは担当者の怠慢ではなく、更新の手間が現場に合っていないことがほとんどです。管理画面から数分で登録・公開できる形にすると、更新頻度そのものが変わります。

5. 表示速度

物件写真を大量に載せるサイトは重くなりがちです。ただし速度は「遅すぎると損をする」性質のもので、改善しても反響が直接増えるとは限りません(検索評価への間接的な影響はあります)。他の4つより優先順位は下がります。

改修メニューと費用の目安

当社の価格は、いずれも税別です。「大手相場」は一般的なシステム会社・開発会社の見積もり感(2026年8月時点の当社調べ)を併記しています。

部分改修は「初期セットアップ費(3〜5万円)+必要な機能」という積み上げで考えます。

改修メニュー 当社の目安 大手相場
初期セットアップ費(現状調査・環境構築・テスト) 3〜5万円 10〜30万円
物件検索フィルター(エリア・価格・条件) 38〜60万円 150〜400万円
自分で更新できる管理画面(CMS化) 13〜20万円 50〜150万円
360°内見・バーチャルツアー 13〜20万円 50〜150万円
お気に入り・比較機能 13〜20万円 50〜150万円
高機能フォーム(条件分岐・自動返信) 8〜13万円 30〜60万円
地図から物件を探せる表示 10〜16万円 40〜120万円
見学会・相談会の申込受付 13〜20万円 50〜150万円
ローン・支払いシミュレーター 13〜20万円 50〜150万円
既存データ移行 8〜13万円 30〜120万円
表示速度改善 8〜13万円 30〜100万円
SEO強化(構造化データ) 8〜13万円 30〜80万円

サイト全体を作り直す場合は、次の区分になります。

リニューアルの規模 内容 当社の目安 大手相場
ライトリニューアル 今あるページの見た目・スマホ表示・問い合わせ導線を整える 13〜20万円 50〜120万円
標準リニューアル 下層ページも含めWordPressで作り直し。動線見直しとSEO初期設計まで 25〜40万円 100〜250万円
本格リニューアル 構成・文章・写真の見せ方から全面的に作り直す 50〜80万円 200〜500万円

不動産会社でよくある組み合わせは、標準リニューアル+物件検索+360°内見+CMS化です。この構成の概算はかんたん見積もりの「不動産会社」ボタンからその場で出せます。条件を選ぶだけで金額が出るので、社内で相談する前のたたき台に使ってください。

公開後の運用は、簡易保守が月2万円〜、解析とSEOのレポートまで含む改善運用が月5万円〜です。判断材料はホームページ保守費用の相場にまとめています。

なお、改修の内容によっては公的な補助金の対象になる場合があります。制度の内容・締切は年度ごとに変わり、採択や補助額は保証されないため、補助金活用のページで最新の条件をご確認ください(原則として後払いです)。

物件データの移行が、不動産サイト改修の山場

他業種のリニューアルと最も違うのが、この点です。会社案内やお知らせと違い、物件データは項目数が多く、しかも日々動きます。

移行で問題になりやすいのは次の3点です。

  1. 項目の対応付け: 旧サイトの「面積」が壁芯なのか登記簿なのか、単位が㎡なのか坪なのか。同じ名前でも中身が違うことがあります
  2. 写真の枚数と容量: 1物件あたり10枚以上あると、数百物件で数千ファイルになります。ファイル名が連番のみで物件と紐づかないケースもあります
  3. 公開中と成約済みの区別: 旧サイトで手作業で消していた場合、どれが現役の物件か、データだけでは判断できません

このため、移行は「作業」ではなく「棚卸し」として時間を見ておく必要があります。 当社では既存データ移行を8〜13万円で見ていますが、これは項目の対応付けが整理できている前提の金額です。

現実的な進め方としては、公開中の物件だけを移行し、成約済みの過去物件は実績ページとして別扱いにするか、思い切って移行しない選択もあります。過去物件を全部持っていく必要が本当にあるかは、着手前に一度考える価値があります。

ポータルサイトの物件データ連携(コンバータ)を使っている場合は、その仕様も必ず先に確認します。連携が前提のサイトを作り直すと、連携部分の作り直しが別途必要になることがあるためです。

改修の進め方とスケジュール

部分改修の場合、おおよそ次の流れになります。

  1. 現状の確認(1〜2週間): 今のサイトの構成・管理画面・データの持ち方を調べ、どこを残してどこを直すかを切り分ける
  2. 優先順位の決定(数日): 予算と、いま一番困っていることを突き合わせて着手範囲を決める
  3. 制作・実装(3〜6週間): 機能の数と物件データの量で幅が出ます
  4. テスト環境での確認(1週間): 本番とは別の場所で、実際の物件データを入れて動作を確認する
  5. 公開・切り替え: 物件更新が止まらないタイミングを選ぶ

全面リニューアルの場合は、構成・文章の検討が入るため、下層ページ込みで1〜2か月、物件検索などの機能開発を含むと2〜3か月程度を見込みます。手順の詳細はリニューアルの進め方にまとめました。

繁忙期(1〜3月)に公開日を重ねないことをおすすめします。 最も物件が動く時期に、慣れない管理画面へ切り替えるのは負担が大きいためです。

改修でよくある失敗

  • 見た目だけを新しくして、物件の探しやすさが変わらない: トップページの印象は変わっても、反響数は動きません
  • 機能を先に決めてしまう: 「360°内見を入れたい」から入ると、物件写真そのものが少ないという根本の課題が残ります
  • 更新担当者が決まらないまま公開する: CMS化しても、誰がいつ更新するかを決めていないと3か月で止まります
  • 旧サイトのURLをそのまま消す: 物件ページのURLが変わる場合、転送設定をしないと検索評価と既存のリンクを失います
  • 物件ページのテンプレートを作り直す際に、表示すべき項目が抜ける: 取引態様の明示や免許番号など、不動産広告には表示のルールがあります。作り直したテンプレートに必要項目が残っているか、社内の有資格者にご確認ください
  • 公開後の保守を見積もりに入れていない: WordPressは更新を止めると、数年後に「触れないサイト」になります

失敗の実例と回避策はリニューアルの失敗事例にも整理しています。

実際の物件検索・360°内見・お気に入り比較がどう動くかは、不動産会社向けのデモサイトで操作できます。サービスの内容は不動産業界向けのご案内を、機能単位の実例はできることをご覧ください。

よくある質問

Q. 今のサイトを作った会社と連絡が取れません。改修できますか?

サーバーとドメインの管理権限があれば、多くの場合は可能です。まず現状のサイトがどこで動いているか、管理画面に入れるかを調べるところから始めます。権限が確認できない場合は、新しい環境で作り直したうえでドメインを切り替える方法になります。

Q. 物件検索だけを後から追加できますか?

できます。ただし物件データの持ち方によって作業量が変わるため、現状調査のうえで判断します。物件が固定のページとして手作りされている場合は、検索機能の追加とあわせてデータの作り直しが必要になります。

Q. 改修中も物件の更新は続けられますか?

部分改修であれば、テスト環境で作業して最後に切り替える形が一般的なので、公開中のサイトの更新は続けられます。全面リニューアルの場合は、切り替え直前の数日だけ更新を止めていただくことがあります。

まとめ

不動産サイトの改修は、「全部きれいにする」より「反響までの距離が近いところから直す」方が費用対効果が出やすい分野です。

  • 部分改修か作り直しかは、見た目ではなく更新できる状態かどうかで判断する
  • 直す順番は、物件検索 → スマホ表示 → 問い合わせの入口 → 自社更新 → 表示速度
  • 部分改修は初期セットアップ費3〜5万円+機能の積み上げ。全面なら標準リニューアル25〜40万円が中心
  • 不動産固有の山場は物件データの移行。過去物件をどこまで持っていくかを先に決める
  • 公開日は繁忙期を避け、更新担当者を決めてから切り替える

次の一歩としては、いま一番困っていることを1つだけ書き出してみてください。それが検索の使い勝手なのか、問い合わせの少なさなのか、更新の手間なのかで、必要な改修も金額も変わります。

「どこから直すべきか」の切り分けだけのご相談も歓迎です。概算はかんたん見積もりでその場で出せます。詳しくはお問い合わせからどうぞ。